なぜ今、“語りたくなる体験”が求められているのか?──共感マーケティングの基本と、変化する顧客心理

商品やサービスを検討する際、まず「口コミ」をチェックする──皆さんもそうではありませんか?
あふれる情報の中から本当に信頼できる意見を探す中で、多くの人が「忖度のないリアルな声」に価値を感じています。特に、それが自分の価値観に近い人から発せられるものであれば、共感度はさらに高まります。

こうした背景から注目されているのが、「共感マーケティング」です。
これは、ブランドや商品に“共感”してもらうことで、自然な広がりや支持を生み出すマーケティングの考え方。
「好きだから、伝えたくなる」──そんな感情を育むことが、鍵となります。

その中心にあるのが、「語りたくなる体験」。
単なる使用感の共有にとどまらず、その背景にあるストーリーや想い、自分の体験が絡むことで、共感の連鎖が起こるのです。

特に中小企業にとって、“実感のこもった利用者の声”は、広告をしのぐ最大の武器になり得ます。
だからこそ、「語りたくなる体験」をどう設計するかが、ファンづくりの重要なスタート地点となります。

クローズドSNSが生み出す「語りたくなる空間」──安心感・参加意識・共創を育てる場づくり

「誰が見ているか分からないから、投稿しづらい」
オープンSNSでは、発言するにもつい慎重になってしまうことが珍しくありません。情報の拡散力が魅力である一方、本音を語るには少しハードルが高いのが現実です。

そこで注目されているのが、クローズドSNS。
参加者が限られており、価値観の近い人たちが集まっているという安心感が、本音で語ることを後押ししてくれます。投稿の質も深まりやすく、より濃密な共感が生まれる土壌となります。

また、「みんなでつくる」感覚を取り入れれば、さらに一体感が増します。たとえば、

  • 「次の商品名を一緒に考えよう」
  • 「試作品を先に試して感想を聞かせて」

といった“共創型”の企画は、参加者に「自分ごと」としての関心を持たせやすくなります。

「ブランドのため」ではなく、「自分たちの場所」という意識が芽生えることで、紹介の連鎖(リファラル)も自然に広がっていくのです。

“語りたくなる体験”をつくるアイデア集──限定コンテンツ・裏話・双方向交流の仕掛け

では実際に、「語りたくなる体験」はどう設計すればよいのでしょうか?
鍵となるのは、“ここだけの特別感”です。たとえば:

  • 限定のライブ配信やチャットでの直接交流
  • 常連メンバー限定の先行試食会・座談会
  • 新商品の開発裏話や、試作時の失敗エピソード
  • 社長や開発者からの週1メッセージ

これらは“ここにいるからこそ得られる”体験であり、蓄積されるほどに場への愛着が深まります。
また、裏話や失敗談は、意外にも強い共感を呼ぶコンテンツ。きれいにまとめすぎないことで、リアルな共感が生まれやすくなります。

ファン投稿を自然に促す工夫──「テーマ」の工夫や「ちょっとしたご褒美」で参加のハードルを下げる

「投稿してください」と言うだけでは、人はなかなか動きません。
そこで必要なのが、“投稿したくなるきっかけ”の設計です。

例としては:

  • 「#私の推しポイント」など、気軽なテーマの提示
  • 季節限定の投稿キャンペーン(抽選で小さなプレゼント)
  • 投稿を紹介された人へのプチ称賛(限定アイコンや紹介メッセージ)

重要なのは、「投稿そのものが楽しい」と感じてもらうこと。
自分の声にリアクションがある、読まれていると感じる。
そんな体験が、次の参加意欲を自然と引き出していきます。

ブランドとファンの心地よい関係を育む「聞く力」──一方通行ではない、双方向コミュニケーションへ

SNS運営では「伝える」ばかりが重視されがちですが、実は「聞くこと」がコミュニティの土台を支えます。
特にクローズドSNSでは、ファンの声に耳を傾ける姿勢が信頼構築に直結します。

  • 定期的なアンケートの実施
  • 投稿にスタッフが丁寧にリアクション
  • ファンの意見を取り入れた改善やイベント開催

“自分の発言・意見を拾ってもらえた”という実感が、ファンの関与をより深く、継続的なものに変えていきます。

クローズドSNSが育む“仲間感”と、続けたくなる仕掛け──心理的な「居場所」を感じてもらう工夫

単に「快適」なだけでなく、「自分の居場所だ」と思えること。それが継続的な参加を促すカギです。人が集まり、つながり続けるためには「承認欲求」や「所属欲求」が満たされる必要があります。誰かに求められている、自分の存在が認められている──そんな“心理的安全性”のある場所は、人にとってかけがえのない居場所になります。

といっても、ささやかなアクションで構いません。

たとえば:

  • 誕生日に一言メッセージを送る
  • 同じ趣味を持つメンバーを紹介し合う
  • 継続参加者に「3カ月ありがとう」などのバッジを贈る

そんな小さなやりとりの積み重ねが、「自分は歓迎されている」と感じさせ、心地よい関係性を育てます。

さらに、リアルイベントや「季節のちょっとした贈り物」といった“非デジタル”な要素も加わると、より一層つながりの実感が高まります。

「ここにいる意味」をつくるコミュニティ設計──“見るだけの人”を巻き込む参加設計

クローズドSNSでも、「見るだけの人」が一定数います。
それも一つの関わり方ですが、「ここにいる意味」を感じてもらうためには、もう一歩先の設計が必要です。

  • 毎月のテーマ投稿で“参加リズム”をつくる
  • 気軽に名乗れる役割(レビュー係・写真係など)を設ける
  • 新メンバー歓迎の習慣をつくる+初めての投稿にバッジを贈る

こうした仕掛けは、特に少人数のSNSにおいて強く機能します。
「ただいるだけ」ではなく、「誰かの役に立てている」「ここにいると楽しい」と思えることが、ファンとのつながりを継続させる力になります。

まとめ:クローズドSNSは、“語りたくなる体験”の宝庫

クローズドSNSは、ただの情報発信ツールではありません。
共感を育み、共創を促し、“語りたくなる体験”を積み重ねていくための、極めて有効な場です。

今後のファンマーケティングにおいては、こうした「参加型のコミュニティ設計」が不可欠となるでしょう。

次回は、「社内エンゲージメントを高めるクローズドSNSの活用法」について解説します。どうぞお楽しみに。

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